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 AIDA Depth World Championship 2009 in BAHAMA
 フリーダイビング・ワールドチャンピオンシップ参加レポート
 記事:北原達馬

呼吸器具を使わず、一息でどこまで深く潜れるかを競うフリーダイビング。
2年に1度行われる このフリーダイビングの世界選手権・個人戦に日本代表として参加してきました。

今回行われる種目はコンスタントウェイト・ウィズフィン(CWT)とコンスタントウェイト・ウィズアウトフィン(CNF)の二種目。 二種目の違いは潜水のための道具としてフィン(足ヒレ)を使うか使わないか。私はフィンを使わない、 ウィズアウトフィンの代表として参加しました。

11月22日(日)、カリブ海に浮かぶバハマ国のロングアイランドへ向かって旅立ちました。
2回の乗り継ぎを経て約40時間かけてロングアイランドへ到着。 熱帯性の気候であるバハマは、11月でも日本の9月くらいを思わせます。Tシャツ一枚でも 汗ばむ陽気でした。

現地時間の23日の午後。
この日から早速他の日本代表メンバーと共に練習に入ります。
大会が 行われるのは、このロングアイランドの名所であり、世界に知られるブルーホール。 正式にはDean's Blue Holeと呼ばれ、世界で最も深く美しいブルーホールです。

ごく普通に見えるビーチの端に、突然直径30m程の縦穴がぽっかりと空いています。 そのまま真っ直ぐに200mの水深があります。
暖かな海水温、波の影響を受けない、潮の流れがない、岸から10秒で水深200mと言う フリーダイビングにとってこれ以上ないという条件の場所です。

波打ち際からブルーホールに 向かってどんどんと色の濃くなる青のグラデーションはこれまで見たことのない嘘のような美しさです。


ブルーホール
フリーダイビングは他のスポーツでは考慮されない、高気圧による人体への様々な影響があり、 特に50mを越えるような深度へは1日に1本以上潜ることは避けます。ですから練習は短時間で 終えることが出来るのですが、それでも非常に疲労が溜まる場合があります。

どのようなスポーツでもそうですが、フリーダイビングでも休養を十分に取ったコンディショニングが必要です。
私の練習計画は到着日の23日に軽く練習し、24日は長旅と練習の疲労をとるために丸一日休養。 25日と26日に行われる公式練習に参加し、試合前日となる27日は再度休養としました。


25日と26日は公式練習に参加。
本番と同様にロープの設定(
※1)、セーフティダイバー(※2)が セキュリティに入ってくれます。
競技エリアでの練習時間は予約制で、各選手には10分程度しか持ち時間が与えられません。

25日の夕方に大会のオープニングセレモニーが行われました。17カ国の選手が入場し、 ロングアイランドの人々からたくさんの歓迎の言葉を頂きました。

セレモニー

日本チーム

27日に女子のCNF予選から競技が始まり、28日に私の出場する男子CNF予選が行われました。
本番当日、心身共に調子は悪くありません。
コーチを務めてくれた米田選手と共に競技エリアに 入場します。

競技前

競技直前
始めての世界選手権ですが、思ったほど緊張はありません。環境の良さやスタッフのレベルの 高さのお陰で国内の大会と同じ心境か、それよりも安心した気持でした。

競技の開始時間は各選手毎に厳密に定められています。2分前からカウントダウンがはじまり、 「オフィシャルトップ」というスタートのかけ声の後に、静かに潜降を開始します。 非常にスムーズに潜り続けます。快調と感じました。むしろ快調すぎてスピードが若干速い気がします。

水深30mを過ぎた時点で尚スピードを加速してしまい、あっと思った瞬間耳に違和感を感じます。 垂直潜水では深く潜るにつれて増大する気圧の影響で、体内の空間部分(肺、副鼻腔、耳菅など)が 陰圧状態になり、柔軟性のない副鼻腔周辺の陰圧状態は圧平衡(一般的には耳抜きと呼ばれる)に より解消しなければなりません。 水深39mあたりで、耳で聞いたことのない音と痛みを感じました。

即座に潜降を中断します。鼓膜を 損傷したと判断したからです。

垂直潜水の競技では安全のためロープに沿って泳ぎますが、CNFや CWTではルール上、このロープを使って推進力を得ることは反則となります。私はこのルールを 把握した上で、安全のためロープを使って浮上を行いました。 つまり、39mで潜行を中断し耳の損傷と判断した時点で失格を覚悟しました。

ひと言で言えば「耳抜き」という技術の失敗です。非常に残念ですが、結果は失格であり、今大会で 成績を残すことは出来ませんでした。しかし、世界のレベルを肌で感じ、トップダイバーの技術を間近に見られたことは大きな収穫となりました。 この経験を日本のダイバーに還元し、次回の大会では自分を含めてより強い日本になれるように 活動していきたいと思います。

今後とも応援をよろしくお願い申し上げます。
 
※1   フリーダイビングの海洋競技では垂直に降ろされた競技ロープが設置されます。 競技ロープの一番下にはウェイト(重り)とボトムプレートがあります。ボトムプレートにつないである 「タグ」というフダを取ってくることで底まで行ったことを証明します。このロープは選手毎にあらかじめ 申告した深度に設定されます。
     
※2   安全のため、すべての競技でセーフティダイバーが2~3名待機しています。選手の浮上に 合わせて、セーフティダイバーも潜水し、万が一に備えます。
 

北原 達馬 (きたはら たつま)
フリーダイバー
フリーダイビングチーム無限 副代表

 

2009年12月14


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